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介護保険制度

障がい者サービスを利用できないという行政の勝手な基準

障がいを持つ人が「障害者自立支援法」により障がい者サービスを利用していた人が、65歳になると介護保険サービスに移行していくことについては以前の「ケアマネのつぶやき」でもふれた。65歳を超える高齢者は、原則介護保険優先ということになっている。ただし介護保険サービスに移行して以降も、一部障がい者サービスを利用できることになっている。

介護保険を利用しながら障がい者サービスを利用できるケースとして、一つは介護保険にはない「同行援護」「自立訓練」といった障がい者サービスである。二つ目には介護保険サービスを提供する事業所や施設が身近になく利用できない場合。今回話題となっているのが三番目のケースである。少し詳しく説明する必要がある。介護保険のサービス利用に際しては支給限度額というものが介護度別に決まっている。その限度額をオーバーする場合は自費となる。こうした介護保険サービスの支給額、内容で十分なサービスが受けられない場合が三つ目のケースである。そして、こうしたサービスを認めるかどうかは市町村が決めることとなっている。

 今回問題になっているのはこの三番目のケースにあたる.

利用者が町に申請をしたところ、「支給は認められない」となった。その理由が「介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を支給限度額基準の5割以上の利用がない、ということであった。この地域の市町村ではヘルパーを半分以上使っていないと認められないという基準を決めているようである。

 ところが介護現場では、ヘルパーさんがいないという深刻な現実がある。訪問介護サービスを利用しようにもできない現実があるのだ。こうした現場の実態を何ら顧みることなく、勝手に市町村が基準を決めたものさしでサービス利用を受け付けようとしない行政の対応には納得がいかないものがある。しかもこの5割という数字はほとんど現場では知られていないのである。

 厚生労働省はこの問題について令和5年6月30日事務連絡を発出している。それによれば、「利用する介護保険サービスの単位数に対する訪問介護の単位数が一定以上等」のみの基準により決めることは「適切ではない」「個々の障害者の障害特性を考慮し、必要な支援が受けられるかどうかという観点についても検討した上で、支給決定を行うこと。」を市町村に求めているのである。

市町村は、全ての障がい者及び障がい児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること等について、介護保険サービスに限らず柔軟なサービスの選択が行えるように支援していく事が望まれる。

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