過疎地の介護サービスは、切り捨てになるのでは
今国会で介護保険等の改定に関する法案が通過した。その中の一つに、高齢者人口が減少する地域を「特定地域」と定め、介護保険サービスの人員配置基準を緩和することや、包括払いの支払い方式も選択できるようにする。さらに、同「地域」の在宅サービスを介護保険給付から外し、自治体事業に移行するという介護保険の一部改訂が行われた。
厚労省が示した基準案では、次のいずれかに該当する地域が「特定地域」になるとしている。 (1)介護保険の特別地域加算や離島相当サービスの対象地域、(2)75歳以上の人 口密度が1平方キロメートル当たり5人未満または、75歳以上の人口が1千人未満で、かつ減少している市町村(全域単位)―などです。社会保障審議会介護保険部会での質疑の中では、全国1741市区町村の半数程度の自治体が、全部または一部において「特定地域」になると示されている。
さて、果たして今回の改定により、過疎地の深刻な介護人材の不足の問題は多少とも改善されるのであろうか。具体的な基準等は今後示されていくのであろうが、現時点では今回の改定により、過疎地域の人材不足の問題が改善されるとはとても思えない。なぜなら、過疎地と言われている地域には、そもそも担い手が圧倒的に不足しているのであり、基準の改善で人が生まれてくるのではない。過疎地における介護人材不足の問題は、担い手になるべき人がいないという問題とともに、移動という過疎地特有の問題がある。1時間の訪問のために片道30分~1時間要する場合が少なくない。1軒の訪問のために半日費やさなければならないという過疎地の現実に、現在の介護保険の訪問介護の制度は機能しなくなっているのである。この結果、介護保険制度はあっても訪問介護を利用できない過疎地の人々が多数存在していることを、都会に住む官僚や政治家は理解していないのであろ。
今回の介護保険の改定により、「特定地域」に指定されることで、同じ介護保険料を払いながら、事業所の基準を緩和することにより適正なサービスを利用できなくなったり、介護保険サービスではない劣悪なサービスしか利用できないとすれば、過疎地に住むということで、介護サービスの格差を生み出すことになりはしないだろうかと危惧される。