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ケアマネのつぶやき

『あったらいいな、こんな加算♪』の根底にあるもの

 前回、ケアマネのつぶやき 「あったらいいな、こんな加算♪」でケアマネの本音?の一部を紹介した。なぜこうしたケアマネの声が聞こえてくるのか、ここではその問題を少し掘り下げてみたい。

端的に行くなら「介護保険はやはり社会保険の一つです。言いかえれば、介護保険による介護サービスは『定型化されたサービス』であるということです。要介護度に応じて上限が決められ、一定のメニューの中から必要なサービスを選択するというかたちです。・・・・介護を必要とするお年よりの暮らしを支えるという点ではいずれにしても部分的であり、介護保険だけでは十分ではないということです。介護保険は、生活の中のほんの一部を支えるにすぎない制度だといいかえることもできます。」※1このように介護支援専門員はあくまで「生活の中のほんの一部を支えるにすぎない」介護保険の枠組みの中での働きしか評価されておらず、介護保険給付として提供されるサービスのマネジメントを行なうことが第一義的に求められている。

 しかし、現場のケアマネジャーは、狭い意味での「介護支援」だけにかかわるわけではない。その仕事は介護を通じて、利用者の生活そのものと向かい合わざるを得なくしている。現に困難事例といわれるケースの中には、介護そのものの困難さにとどまらない要介護者を取り巻く経済的な問題、家族機能の弱体化とそれに伴う家族関係のもつれ等様々な「新しい貧困」ともいうべき生活そのものの崩壊の中で生み出されるケースが少なくない。こうした問題は、明らかに介護支援専門員の仕事の範囲を超えるものであるであると同時に「一人一人の命と暮らしを大切にしたい」と考えるケアマネジャーの大きな悩みとなっている。

橋本正明はこの問題を「介護保険が抱える構造的な課題」として次のように指摘している。「生活を支える高齢者福祉と介護保険の分担である。いうなれば普遍的なサービスと個別的な生活問題の対応ということである。これをここでは社会的な不適合を含めたソーシャルワークの課題としておこう。この対応を介護支援専門員に大きく任されることはその機能から言っても無理がある」。※2と指摘している。

 今日、格差社会といわれるように社会・経済的な変化の中で国民の中では深刻な生活障害を生み出されており、こうした生活問題こそが社会福祉の課題である。要介護高齢者の生活もまた例外ではない。しかし、こうした生活問題に介護保険のケアマネジャーがかかわるとき、そこにはおのずから限界があるということであろう。

こうした居宅介護支援におけるケアマネジメントの問題を「ケアの包括性」という視点から指摘したのが次の見解である。「『ケアの包括性』をめぐるケアマネジャ-の職務の揺らぎに直接つながっている」※3。ここでいわれる「職務の揺らぎ」とは、ケアマネジャーの「一体その仕事の範囲はどこまでなのか」という疑問になる。

「一人一人の命と暮らしを大切にしたい」と考える介護保険のケアマネジャーはその揺らぎの中で仕事をしている。そんなケアマネの『あったらいいな、こんな加算♪』を理解していただきたいと思う。

ではこうしたケアマネジャーの悩みを解決する方向はあるのだろうか。

 これまで述べてきた課題の解決は地域包括支援センターに課せられていると考える。

なぜなら、地域包括支援センターはその名のとおり「地域包括ケアを有効に機能させるために」(「地域支援事業実施要綱」)作られた地域の中核的組織である。そのなかでも、同センターの基本機能のうちの「包括的・継続的ケアマネジメント支援」は「地域住民が抱える生活上の課題には、地域特性や家族の状況による影響がその背景にある場合があります。・・・地域包括支援センターの職員は、これらの状況を把握した上で、地域の実情を踏まえつつ、介護保険サービスだけではなく保健、医療、福祉、その他の生活支援サービスなどを含め、地域における様々な社会資源を活用し、高齢者に対して『包括的かつ継続的に』支援していくことが必要です」※4とされているのである。

ケアマネジャーの個々の利用者を支援する力と地域包括支援センターのこうした機能が結びつくなら、それは新しい「地域包括ケア」を実現できるかもしれない。しかしこれはあくまで可能性である。地域包括支援センターが国の示している文章通りの役割と機能を果たすことができるかどうかはいまだ不明である。

  ※1「福祉研究91」宮田和明

※2「日本ケアマネジメント学会ニュースVol11」

※3「地域包括ケアにおける在宅ケア体制確立のための連携体制のあり方等に関する研究報告書」社団法人生活福祉研究機構17.3

※4「介護支援専門員基本テキスト第2巻」

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