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消費税の減税は社会保障の削減になるか

先の参議院選挙の争点の一つが消費税の減税であった。野党の減税案に対して、政府、自民党の主張は「消費税は社会保障費に充てられている。この社会保障費を削るわけにはいかないから、消費税減税はできない」ということであった。

そもそも、消費税の社会保障財源化が示されたのは2012年、当時の民主党政権下の「社会保障・税一体改革大綱」であった。その「大綱」に基づき消費税法改正案が同年8月に国会で成立するとともに、消費税率が8%に引き上げられた。要は消費税を引き上げるために、消費税は社会保障のために使われるということで国民の理解を得ようとしたのである。改正された消費税法の第1条2項には「消費税の収入については、地方交付税の定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付ならびに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」が明記された。これが「消費税の社会保障財源化」と称されるものである。

但し、消費税は目的税ではないとされている。森林環境税や都市計画税といった目的税の多くは特別会計として財務会計上も区別されているが、そうでない消費税は財務会計上は使途を特定しない一般財源として扱われているため、法律では消費税は社会保障財源として使われると言っても、消費税として集められた税金が社会保障の経費として使われているかどうかは確認しようがないのである。

こんな数字もある。消費税収の対GDP比を見ると、消費税が始まった1989年度は0.9%であったものが2025年度には5.0%に増加している。一方法人税は同じく1989年度が6.9%であったものが4.2%と減少している。法人税の減税と消費税の増税がこの間同時に進められてきたのである。要は法人税を減らしたその穴埋めに消費税が充てられているのが実態のようである。

こうした数字を見ると、「消費税は社会保障費に充てられている。この社会保障費を削るわけにはいかないから、諸費税減税はできない」「消費税を上げないと増加する社会保障費に対応できない」という主張と日本の税収入の実態とはやや解離があるように思われる。

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