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ケアマネのつぶやき

高齢者にとって生活支援サービスは不可欠なのですが

「家政婦」という言葉を聞くことはずいぶん少なくなった。今や「家政婦」という言葉で思い出すのは、TOKIO松岡昌宏女装した大柄な家政夫・三田園薫に扮して演じられる「家政夫のミタゾノ」かもしれない。しかし、「家政婦」という仕事がなくなったわけではない。「家政婦」という言葉に代わって「家事代行サービス」という同じような仕事がある。この「家事代行サービス」事業は立派な企業として成立しており、「ベアーズ」「タスカジ」「CaSy(カジー)」「三菱電機の家事代行」「ダスキンメリーメイド」等々が有名どころであろうか。ちなみに料金は 1時間あたり相場は2,000円~4,000円だと言われているようだ。介護保険の生活援助が45分以上70分未満で2,200円(ただし本人負担は1割から3割となる)であるから介護保険の単位設定がかなり低いといえるようだ。

こうした中で、経済産業省はこれから2040年にかけて急速に高まっていく生活支援などのニーズの受け皿を作るために高齢者の在宅生活を支える介護保険外サービスをどう振興するか。これまで議論を重ねてきた戦略検討会の報告書を公表した。

今回の報告書では、こうした保険外サービスを「高齢者・介護関連サービス」と呼び、見守りや家事、移動、買い物、食事、運動、趣味、学習、交流、身だしなみ、資産管理、各種手続き、意思表明、終活等の幅広い分野のサービスを自治体、介護関係者、民間企業による連携で振興していくものとして「産福共創」と名付けている。いずれにしても国が本腰を入れて保険外サービスを推進する姿勢を明示したものである。

また高齢者向け保険外サービスの振興を目指す事業者団体「介護関連サービス事業協会(CSBA)」は12日、これまで策定を進めてきた生活支援サービスと配食サービスのガイドラインを公表した。このガイドラインを基準とした事業者の認証制度の運用を今年7月を目処に始めるとしている。

こうした一連の介護保険外で高齢者の生活を支援するサービスの充実は、75歳以上の高齢者が増加し、しかもその多くが独居高齢者になる中でますます重要になることは間違いないであろう。

 ところがである、時を同じくして財務省の財政制度等審議会は27日、これまでの議論をまとめた提言(建議)を政府へ提出した。その中の介護分野に関する提言として、要介護1・2の訪問介護・通所介護を市町村の事業へ移管すること、まずは生活援助から段階的に移すことを求めている。現在でも市町村が行う地域支援事業では訪問介護の利用は大幅に制限されている。足りない分はボランティアや地域の助け合い、そして民間のサービスを利用してくださいということになっている。

 こうした国の一連の動きから見えてくるのは、ヘルパーさんによって提供される訪問介護の利用を制限し、介護保険の給付を減らし、その分を民間の保険外サービスで高齢者の生活を支えていこうということのようだ。当然利用者の負担は大幅に増えることになる。

 高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続けるために生活支援サービスは不可欠である。誰もがこの願いを実現できるようにするためには、介護保険が最低の保障を提供すべきであると考える。そのうえで多様な生活支援サービスが提供されることにより豊かな老後が実現できると考えている。

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