なぜ男性はデイサービスに行かない?
日頃からいろんなデイサービスに行くと女性ばかりで男性の少なさを感じている。だいたいどこのデイサービスに行っても8割がたは女性である。中には女性ばかりのデイサービスに一人男性が肩身狭そうに座っているところを見ることもあった。もちろん高齢になると男性は少なくなるのは平均寿命から見ても仕方ないのであるが。なぜ男性の高齢者はデイサービスに生きたがらないのか?
こんな折、警視庁が4月11日、初めて「孤独死」に関する年間を通じての統計を発表した。それによると、昨年1年間に自宅で亡くなった一人暮らしの人は全国で7万6020人で、このうち年代別では65歳以上が8割近くを占めた。死後8日以上経過し発見された「孤立死」は2万1856人で、男性が約8割であったという。
なぜ男性の方が孤独死をしやすいのかという問いに対しては、次のような見解が見られる。
◎男性は女性よりも、日常的な人付き合いや、ご近所付き合いが苦手な方が多い傾向があります。また会社での人付き合いの方法しか分からずに定年退職後に社会との接点がなくなってしまい、社会的に孤立してしまうケースが少なくありません。
◎従来の価値観や傾向として本当に困ったときに助けを求めることができず、病気で動けないなどの緊急事態でも、誰にも気付かれないまま手遅れになってしまうケースもかなり多いと言われています。
◎健康管理を含めた身の回りのことをすべて妻に任せきりにしていた男性は、妻に先立たれてしまうと家事ができずに困ってしまう事も少なくありません。また、ご近所付き合いも妻に任せっきりにしている場合、妻がいなくなってしまうと、自身の健康管理もままならない上に、突然社会から隔絶されてしまい、何もできなくなってしまうのです。
◎「世界一孤独な日本のオジサン」の著者の岡本 純子氏の指摘は面白い。
「オジサンはなぜ孤独になるのか。それは男性と女性の人との付き合い方の違いに関連している。男性は人と繋がる時、何かの媒介、物、経験などが必要である場合が多い。一緒にスポーツをする、ゲームをするなど、何かの物理的なきっかけを要するのだ。女性は、そうした媒介がなくとも、関係性を成り立たせることができる。何時間でも電話をしながら、お茶を飲みながら、延々と会話を成り立たせることができる。恋バナ、夫の悪口や子供への不満、語るネタは売るほどある。一方で、男性同士が面と向かって、うわさ話に興じる姿はあまり思い浮かばない。その間には将棋があったり、スポーツがあったり、もしくは仕事の話だったり……。」
もしデイサービスが男性の高齢者を獲得することに成功すれば、それは深刻な日本の高齢者の社会的孤立、その象徴でもある孤独死の解決に重要な示唆を与えることになるかもしれない。