深刻な過疎地の介護問題
過疎地の介護をめぐる問題は、ヘルパーさんの利用ができないという現実に象徴されるように深刻な事態を迎えている。国もこうした現実に対し、これまで社会保障審議会介護保険部会等において議論を行ってきた。その中では、こうした地域におけるサービス事業所の配置基準の緩和、訪問介護の定額制の導入等が検討されている。
私自身そうした過疎地といわれる地域で、長年ケアマネジャーをしてきた者として過疎地域の介護サービスの持続可能性を深刻に考えている。
こうした地域では、まず第一に高齢者、要介護認定者ともに、すでに減少傾向にあるということである。ただし相対的には生産年齢人口の減少の方が大きいので高齢化率は依然として高くなっている。
第二には、人口の減少とともにヘルパーや地域での助け合いを担うべきボランティアといった担い手の圧倒的な不足である。
三番目には、サービス提供の際に生じる移動の問題が大きいと考えている。1時間のサービスを提供するために往復2時間かかるような訪問サービスの課題。通所サービスに関しても、送迎ができないという理由で利用できない地域が存在している。
介護保険は準市場と言われており、公的な仕組みとしての社会保険の枠組みで提供されるサービスは社会福祉法人から民間事業所まで多様なサービス主体が参加し、そこでは市場原理が一定の制約はあるが貫徹している。つまり、介護保険の準市場という構造は、採算の取れないサービスは退場していかざるを得ないという根本的な問題を持っているのである。そして、その地域に住むという理由だけで、介護サービスが利用できなくなるのである。介護保険はそうした問題に対し、特別地域加算や中山間地の加算といった対応により是正を図ってきた。しかし、現実はそうした介護保険の枠内で可能な対応ではどうしようもなくなっている。
すべての国民の介護保障という視点からみれば今必要なのは、介護保険の仕組みを維持しながら、公的な介入が必要だと私は考えている。この点では社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」にも「中山間・人口減少地域における柔軟なサービス基盤の維持・確保の選択肢の一つとして、給付の仕組みに代えて、市町村が関与する事業により、給付と同様に介護保険財源を活用し、事業者がサービス提供を可能とする仕組みを設けることが適当である。」という指摘も見られる。
2000年に介護保険が成立して以降、市町村は高齢者福祉の部分に対し、介護保険任せの消極的な対応に終始してきたと考えている。しかし、今日、改めて市町村の高齢者介護の積極的な取り組みが求められている。こうした市町村の問題と同時に、重要なことは介護事業者の連携も不可欠であると考えている。もともとそうした地域に現存する介護サービスを支える人的資源は限られているのであるから、そうした人的資源をいかに有効活用できるかということは、事業所枠を超えて考えていかなければならないものである。この点では同上の「意見(案)」にも「介護事業者の連携強化」がふれられている。この介護事業者の連携強化を考えるとき、地域包括支援センターや保険者といった行政機関の調整、介入がないと、ことはうまく進まないのではなかと考えている。
次回にもう少し具体的に私案について述べてみたい。